ジュセリーノ氏はブラジルでは相当有名で、ワイドショーだかニュース番組だかにも出ているようだ。(日本でも有名になりつつありますね)予知夢についても相当公開しているようなので、将来、氏に関する予知現象の事実は解明されていくと思う。本屋さんで平積みしてある「未来予知ノート」を立ち読みしたが、これだけ長年にわたる予知活動を偽装するのは困難すぎるとおもう。ブラジルは伝統的にカトリックの国だが、現法王がジュセリーノ氏の予知により危険をまぬかれたことがあると書いてある。これが事実だとすれば、氏はたいへん権威を持つようになっただろう。
氏の予知夢が現実であり、人間の無意識の表現とされる通常の夢とは発生メカニズムが違うとしよう。未来の予知夢とはいったい何なのか?過去の記憶が脳裏に蘇るように、ある宇宙時空間インターネット(仮称)にアップされた未来の情報が氏の脳を受信装置として毎夜ダウンロードされて来るのだろうか。そして、それは過去の記憶のように、忘却や思い違いのフィルターがかからなければ、そのものとしては絶対の事実なのであろうか。
記憶ちがい、という言葉があるが、それは一種の錯覚であって、人間の経験に最初リアルタイムに書き込まれたデータそのものは事実を反映していると考えられる。だから過去は事実であって、夢や幻から区別されるのだ。人間は主観のフィルターを通してであるが、その事実を脳や体内の分子に刻印する。では予知夢は未来の確定した事実が情報としてジュセリーノ氏の脳に転送されて来る結果起こるのだろうか。
テレビ放送を見たかぎり、たとえば、9.11のアメリカン航空機内に身体性を伴わずに入ったジュセリーノ氏は、自らの意思でコックピットに移動し、機長と副操縦士がカッターナイフで殺されるのを見た。問題は、このビジョンは事実なのか、予想にすぎないのか、ということだ。事実だとすればこの未来は動かせないことになる。ある特殊な予想であれば、氏の警告が聞かれて事前にハイジャック犯をとらえたり、飛行機を離陸させなければ9.11の惨事の少なくとも一部は防げたことになる。特殊な予想というのは、未来の予定行事のようなもので、特段の変更がなければそのとおりになる、という宇宙進行計画のようなものだ。
人によって未来は時空を超えた神の中ですでに起こったように存在していると見られる。そうならば、いまさら、というか、どんなにジタバタしても変更不可能だということになる。この考えでは時間内の生命の自由意志というものはあやしくなる。あるいは、自由意志の行使の結果がもう神の中では確定しているのだとも考えられるが。ともかく、未来の確定論が正しいとすると、ここに現在と未来とのあいだの情報の流通論は困難になる。未来から、未来結果の予知情報が来ることで未来が変われば未来は二重(またはそれ以上)に存在することになるからだ。パラレルワールド論というのもあるが、これが真実なのだろうか。私には勉強が足りなくてその詳細は知らない。
いや、未来は確定していない。いまだ存在しない幻なのだ、とすれば、未来からの情報というものはないことになる。(タイムマシンもあり得ない)あのホーキング博士や多くの物理学者によれば、理論上はタイムマシンも可能だというから未来は存在し、現在と干渉しつつ多数の未来が出来ているのか。その中に最終結果バージョンと修正前バージョンなんてのがあるのか。それとも全て同等なのか。我々はどのパラレル世界にいるのか。
予知夢が引き起こす科学的(哲学的?)議論は多く、その研究はまだ端緒についたばかりのように思われる。また、政治や、軍事、経済、社会運動の世界にも影響を及ぼしつつあるようだ。環境問題、特にジュセリーノ氏の警告する地球温暖化と人類の運命にかかわって、予知夢が的中すればするほど今後大きな展開を見ることになるだろう。
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